診療キャパシティとスタッフ募集について
前回のブログの流れのまま、インフルエンザ、アデノウイルス(アデノウイルス咽頭炎、プール熱が多いです)、検査はできないけど溶連菌、の流行が続いています。みなさまかからずにこれていますでしょうか。
そんな中、先日、google口コミの方で「予約が取れない」というご意見をいただきました。
開業半年でこの問題に直面できたということは、経営的には順調ということで、非常にありがたいことではあるのですが(「経営」という考え方は、一般の方からするとクリニックにはそぐわないイメージかもしれませんが、個人事業として行なっておりますので避けては通れない観点です)、近隣の先輩小児科クリニックも悩んでいる「永遠のテーマ」でもあるようで、それについて少し、現状のご説明と私自身の考え、展望をお話しさせていただければ、と思います。
ようやく開業から半年が経ちました。
いまでこそおかげさまで、「予約が取れない」くらいにお仕事をさせていただいていますが、当初は1日あたりの患者さんは15名前後からスタートし、夏前の感染流行期は忙しくなったものの8月にはまた受診者数は減少しました。(患者数が減る=こどもが元気、ということで、本来はとてもよいことなのですが、それによってクリニックとしての収益がなくなると営業が続けられなくなってしまいます。。。)同じ頃に開業した別のクリニックでは、夏に受診者数が増えず、一時閉院になっているクリニックもあります。
秋にまた感染が増えていることもあり、この1ヶ月くらいは恒常的に予約枠が埋まる状態になっております。みなさまの体調不良を少しでも改善するお手伝いができていると言う意味では非常にやりがいがあり、ありがたく思っております。
しかしながら、小児科は感染症流行による波が非常に大きく、経営的にどこまで攻めて良いのかというのが非常に難しい診療科です。当院では現状、1日70-80人程度の患者さんを診療させていただいていますが、内科などで多い「定期受診」の方は1日1-3人くらいです(+予防接種や健診が7-10人程度)。つまり、非常に極端なことを言うと、感染症が完全に落ち着いた場合には、1日受診者数が10人になってしまう可能性もあると言うことです。糖尿病、高脂血症などの定期受診である程度計算が立つ成人科とは異なる点です。実際コロナ禍では、小児科と耳鼻科は受診者数の減少が最も顕著な科で、経営不振から閉院となったクリニックもそれなりにあったようです。このように、不安定な収益構造のため、「仕事の多い日に合わせて体制を整える=人員増強、設備増強」というのが難しい、というのが小児科クリニック経営の難しいところです。
この1ヶ月は、現存のスタッフで、予約枠以外の緊急診察依頼も含め、なるべくお断りすることのない様対応しておりましたが、その結果、診療終了が連日20時を過ぎてしまうこととなり、これは患者さん側にも、スタッフ側にも、薬局等関係各所的にも、持続可能なシステムとはなり得ていないと判断し、最近では19時までに終われる想定の患者さん以上は泣く泣くお断りさせていただいている状態です。(ちなみに現状の、医師1人、看護師2人、受付2−3人というのは、1日患者数50名程度に対する人員の様で、当院ではDXの導入とスタッフの努力でなんとか対応しているところです。)
この様な流れですので、8月の様な閑散期の存在は怖くはありますが、スタッフの増員の準備を始めました。週20-30時間程度勤務のできる、受付・医療事務(パート)を募集いたします。当院のコンセプトをご理解いただき、クリニックの雰囲気に合う自信のある方はご連絡ください。
当院は、医療コンサルタントなどとも協議し、十分な広さと考えて開業したつもりですが、日によっては3室ある感染症室が全て埋まってしまい、それが律速段階になっていることもあります。どこをどのように改善すると当院の診療キャパを増やせるか、日々スタッフとも検討しておりますが、まずは受付事務員の増員を行いたいと思います。
そのように思っている中、今度は診療報酬の減額などがニュースに取り上げられています。確かに昨今の少子高齢化、国の予算における社会保障関連費(年金・医療・介護福祉)の高騰を考えると、一部仕方のないことかなと思うところもありますが(便利さの追求をやめ、コンビニも24時間営業をやめよう、などという話もあります)、これは私が小児医療をやっているということもありますが、こどもの体調不良は、親からすると自分のことではないのでわからない、不安というのは絶対にありますので、「異次元の少子化対策」の中に小児医療体制の構築もぜひ入れていただき、スタッフ給与の補助ですとか、IT導入補助金など(現行のものは、新規開業の当院は対象外でした。。。)、検討いただけるとありがたいなぁ、などと思っています。そのためには子育て世帯の投票率が上がらないと、など、難しい考えがぐるぐるしてしまいます。
また、千葉県・千葉市の小児科医を増やす努力も必須と考えており、千葉県小児科医会理事としての仕事も続けています。
最後に、感染大流行の現状(詳細は前回のブログをご覧ください)、他院では朝の受付開始と同時に連絡をしても予約が取れないチケットぴあ状態、とお聞きしますが、当院では今のところ、どんなに需要の高い日であっても数分の余裕はある状況ですので、半日待てる様でしたら、翌日の受診(朝7時の予約取得)をご検討いただけるとありがたいです。どうしてもの場合には、お電話いただけましたら、その時のお子さんの病状とこちらの業務状況(=その他のお子さんの予約状況)を合わせて、ご相談に乗らせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
院長 力石浩志