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かぜ(気道感染症)

  • 空気の通り道の感染症。炎症部位によって名前が変わる
  • ほとんどがウイルスによるもの。抗菌薬は効かない
  • 溶連菌咽頭炎には抗菌薬を使用する
  • ヘルパンギーナ、手足口病では、口内炎が痛くて飲めず、脱水になることがある
  • 「クループ」は変な咳。吸入します
  • 細気管支炎はゼイゼイする。RSが有名。酸素が必要・無呼吸発作があれば入院
  • 細気管支炎は赤ちゃんで重症化する(大きな子は鼻かぜ程度)
  • 肺炎は、ウイルス性、細菌性、マイコプラズマがあり、対応が異なる

 

空気の通り道=気道で感染が起こると、「かぜ」となります。

鼻腔で炎症が起こると「鼻炎」、
喉の奥で炎症が起こると「咽頭炎(いんとうえん)」、
喉の下、声帯のあたりで炎症が起こると「喉頭炎(こうとうえん)=クループ」、
(ここまでをまとめて「上気道炎(じょうきどうえん)」と言います)
気管支で炎症が起こると「気管支炎」(咳が出ます)、
細気管支で炎症が起こると「細気管支炎(さいきかんしえん)」(ゼイゼイします)、
肺胞で炎症が起こると「肺炎」、となります。
(気管支炎以下を「下気道炎(かきどうえん)」と言うこともあります)

鼻炎・咽頭炎

鼻炎、咽頭炎は、いわゆる風邪のウイルスである、ライノウイルス、(旧型)コロナウイルス、エンテロウイルスなどの感染が原因で起こることが多いです。
検査キットなどはないので、原因ウイルスは調べられません。
咽頭炎で高熱がある場合は、アデノウイルスや溶連菌が原因であることがあります。
こちらは迅速キットで調べられます。溶連菌が原因の場合は抗菌薬を飲むと速やかに解熱します。
咽頭の口内炎がひどい場合は、「ヘルパンギーナ」である可能性もあります。夏に多く、高熱と咽頭アフタが特徴の、子どもに多い感染症です。
口だけでなく、手や足にも同じような発疹が出た場合、「手足口病」という病名になります。
原因はコクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどで、対症療法で改善を待ちます。
小さい子で、喉が痛くて水分をとれなくなると脱水になることがあり、注意が必要です。
その場合は、口内炎が改善するまで、入院して点滴で水分を補う必要があります。

喉頭炎

喉頭炎=クループでは、声帯やその周辺が浮腫むので、声が枯れます(嗄声:させい)。
咳も出るのですが、犬の遠吠えのような、オットセイの鳴き声のような、変な咳が出ます(犬吠様咳嗽:けんばいようがいそう)。
ひどくなると、息を「吸う」時に、喉元で変な音がします(吸気性喘鳴:きゅうきせいぜんめい)。
ここまでいくと、うまく息が取り込めなくて体の臓器が痛むので、喉の腫れをとる吸入(ネブライザー)を病院でする必要があります。
これら3つの症状に気づいた場合は受診してください。

気管支炎

気管支炎は、いわゆる咳の出るカゼです。
痰が増えたり、咳がつらくて眠れなかったりすることがあるので、咳止めや痰切りの薬を使うことがあります。
これもおおむねウイルス感染症なので、対症療法になります。

細気管支炎

細気管支炎は、細い気管支で炎症が起こるので、空気の通りが悪くなります。
感染症として有名なのは、RSウイルス(アールエスウイルス)とhMPV(ヒトメタニューモウイルス)です。
感染症でなく、アレルギーとして細気管支炎が起こるものが「喘息」です。
原因は異なりますが、炎症の起こっている場所は同じなので、似たような症状が出ます。
すなわち、息を「吐く」時に、ゼイゼイします。
経過としては、先に鼻水や咳が出て、3日くらいしたところでゼイゼイし始め、5-7日目くらいが症状のピークになります。

炎症で気道が細くなり、さらに細い内腔に痰が詰まって空気の流れを邪魔するので、痰切りの薬や、炎症を抑えるステロイド、場合によっては喘息で使用する気管支拡張薬などを使用します。

0歳児、特に月齢の低い赤ちゃんは、元々気道が細いので、酸素が通らなくなることがあります。
また、呼吸が苦しいと、逆に呼吸を止めてしまうことがあります。
酸素が必要、もしくは無呼吸発作が起こる場合には入院管理が必要になります。

0歳児では保険でRSウイルスの検査が可能です。
逆に、RSウイルスは、年長児ではただの鼻カゼで済んでしまうことも多いです。
上の子が幼稚園・保育園でもらってきた鼻カゼ=RSウイルスが、下の子にうつって重症化することはよくあります。
赤ちゃんがゼイゼイしたり、哺乳が低下した場合は受診してください。

肺炎

肺炎は、空気の通り道の一番奥である「肺胞:はいほう」で炎症が起こることを言います。
原因によって、ウイルス性肺炎、細菌性肺炎、マイコプラズマ肺炎、などがあります。
通常の気道感染症は、熱も数日で治りますが、肺炎にまでなると1週間くらい熱が続くことはザラです。
逆に、熱がなかなか下がらない場合には、肺炎も考えて検査(血液検査やレントゲンなど)をする必要が出てきます。

ウイルス性肺炎は、聴診したときにバリバリした音がしない、重篤感がない、血液検査で炎症の値が低い、などの特徴があります。
ウイルス性肺炎の場合は、対症療法で自然回復を待つことになります。

細菌性肺炎は逆で、聴診でバリバリした音がする、重症感がある、血液検査で炎症の値が高い、などの特徴があります。
抗菌薬を使用する必要があります。入院が必要なこともあります。

マイコプラズマ肺炎は、その中間のような感染症で、基本はウイルスに準じて、対症療法で自然回復待ちですが、マイコプラズマに効く抗菌薬もあるので、流行状況や診察所見から、マイコプラズマを疑った場合はそのような対応をします。

文責:力石浩志

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