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子どもの発熱

  • 圧倒的に多いのは「かぜ」
  • 川崎病、尿路感染症、髄膜炎、悪性腫瘍などが原因のこともある(稀)
  • 「状態が重症か」「原因が重篤か」が大事
  • 「かぜ」は基本自然治癒。薬で症状緩和を図る
  • ほとんどの場合、抗菌薬は不要(無効)
  • 3ヶ月未満の赤ちゃんの発熱は必ず受診する
  • 解熱剤は「熱が辛そうなら」使用する

 

昨今のコロナ禍において、発熱はとても心配な症状かと思います。

子どもにおいて、発熱はいろいろな原因で起こります。
圧倒的に多いのは、いわゆる「かぜ」です。
咳鼻、咽頭痛などの気道症状が一緒に出る「上気道炎」「気管支炎」「肺炎」
(狭義の「かぜ」。ここに、新型コロナやインフルエンザ、溶連菌など、迅速検査が可能な各種ウイルス・細菌感染症も含まれます。)や、
嘔吐下痢を伴う「急性胃腸炎」などがあります。

その他、子どもは、「中耳炎」や「尿路感染症(=腎盂腎炎)」で熱を出すこともあります。
目や口の赤み、発疹などを伴う「川崎病」も有名です。
また、頻度は低いですが、「髄膜炎」や「脳炎・脳症」、「白血病」などの悪性腫瘍、「膠原病」などでも、初期症状は発熱であることがあります。
小さい子では、発熱に伴ってけいれんすることもありますが、それは別ページで解説します。

重要なのは、「現在重症感があるか」と「原因疾患が重篤か」です。
新型コロナでもインフルエンザでも、軽症で済むものもあれば重症になるものもあります。
カゼは様子をみれますが、髄膜炎は様子をみてはいけません。

感染症の大半は軽症で、時間が経てば自然に治癒します。
(一部、抗インフルエンザ薬などが自然経過の後押しをしてくれるものもありますが)
この場合は、熱が高くて辛ければ解熱剤、咳が出て眠れない場合は鎮咳薬、脱水があれば点滴、など、
症状に合わせて、症状を緩和する対応をとってあげることで苦痛が緩和され、治癒も早まるでしょう。
基本的には抗菌薬も不要なことがほとんどです。
(例外的に、溶連菌による咽頭炎の際には抗菌薬を内服します)
重篤な疾患が背後に隠れていた場合は、診断がつくまでに時間がかかることが度々ありますが、
入院施設のある病院での治療が必要なこともあります。

これらの評価は我々医療者が行いますので、お気軽に受診なさってください。
(周囲での流行状況が診断の助けになります。問診ではそちらのご記入をよろしくお願いいたします)

また、生後3ヶ月未満の赤ちゃんの発熱の場合、元気そうに見えても重症感染症であることがありますので、必ず受診してください。

発熱時の解熱剤使用の可否

解熱剤の使用に対しては、賛成派・反対派のいろいろな意見が見られます。
反対派の意見は、「ウイルスには抗菌薬が効かないため、体温を上げることでウイルスを倒しやすくしているので、むやみに下げると治癒が遅れる」、というものです。
学問的には確かにそのような側面もあります。
なので、「熱はあるけど元気で、食欲も良好」の時に、数字合わせのように体温だけを下げることは必要ありません。
子どもは大人に比べて生来熱に強いので、40℃あっても元気でピンピンしていることも稀ではありません(大人では38℃を超えると相当つらいですよね)。

逆に、「(熱が高くて)なんかつらそう」「この熱を下げてあげると少し楽になるのではないか、食べられるのではないか」と親御さんが思うような場合、
解熱剤の使用はそれほどためらわなくてよいと考えます。
熱によって疲労が増してしまうと、かえって治癒まで長くかかってしまうこともあります。
また、夜寝る前には、さほど辛そうでなくても解熱剤を使用しておくと、
夜中に熱で起きてしまうことがなく、ぐっすり眠れてよいと思います。

「常に使用した方が良いわけではないが、辛そうなら(もしくは眠前は)使う」というスタンスが良いのではないかと考えます。

 ちなみに、解熱剤の用量は、アセトアミノフェン(商品名:カロナール、アンヒバ、アルピニーなど)であれば10-15mg/kgです。
10kgの子で100mg, 20kgの子で200-300mg、40kgの子で500mg程度になります。
錠剤と座薬であればmgで記載がありますので、常備薬を使用する際には参考にしてみてください。
(10kg未満の子には少なめに出すこともあります)

粉薬、シロップは、薬剤量が%で記されていたりして、計算はやや煩雑です。
例えばアセトアミノフェン細粒20%で1gと書かれている場合、薬全体が1gで、
そのうち薬効成分としてのアセトアミノフェンが20%=200mg入っている、ということになります。
シロップは2%が多く、1ml=1g=1000mgの2%なので、1mlにアセトアミノフェンが20mg含まれます。
100mg使いたい時は5ml、ということになります。
計算を間違って大量に使用してしまうと大変ですので、自信がない場合はお気軽にお問合せください。

文責:力石浩志

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