りんご病
東京では昨年末から年始にかけて流行し、千葉でも流行していたにもかかわらず、
疾患説明ページのアップが遅くなり申し訳ありません。
最近また増加してきているため、記載いたします。m(_ _)m
🍎 りんご病(伝染性紅斑)とは
りんご病は「ヒトパルボウイルスB19」というウイルスによって引き起こされる小児に多い感染症です。
名前の由来は、頬が赤く“りんごのよう”に見えることから。
頬だけでなく、手足にも発疹が出ることが多いです(体幹には出にくい)。
通常、1〜2週間程度で自然に回復します。
しかし、下に書くように、発疹が出て診断がつく頃にはすでにウイルスの排泄は終わっており、
その1-2週間前頃に他人にウイルスをうつしているため
(うつされた人は1-2週間の潜伏期の後に初期症状が出、またその1-2週後に発疹が出る)、
隔離などによって流行を妨げることのできない、やっかいなウイルスです。
主な症状と経過
初期症状(発症後1〜2週間)
発熱(微熱程度)、のどの痛み、倦怠感など風邪に似た症状が見られることもありますが、必ずしも認められないこともあります。
発疹期
- 頬:まるで頬にリンゴが貼られたような鮮やかな赤い斑状発疹。
- 体幹や四肢(腕・足):レース状や網目状に広がるピンク色の斑点が出ることが多いです。
- かゆみ:ないことが多いです。軽度~中程度のかゆみを伴うこともありますが、強くはありません。
- 症状継続期間:発疹は通常1〜2週間で改善し、その後はまれに色素沈着を伴ってしばらく残ることがあります。
- 再発:外気温の低下や摩擦で一時的に発疹が濃くなることがあります。
一度りんご病の発疹がなくなったと思っていたら、1-2週後に再度発疹が出る、という流れになります。
感染力と登校の可否
- 発疹が出ている時点で、ウイルス排泄はすでに終わっています。
- よって、発疹が出た後はほかの子どもにうつすことはほとんどなく、学校や保育園への登校・登園の許可証は不要です。ただ、発疹があるため受診を勧められた場合や、学校を休んで受診された場合には、報告書・登校許可証を記載することは可能です(感染症休み扱いになります)。
- 感染力があるのは、主に発疹が現れる約1~2週間前の、まだ発疹が出ていない時期です。風邪症状が出た時点でもうすでにうつしてしまっている可能性があるため、発疹が目立つ時には逆に感染リスクは低くなります。
検査の要否
典型的な症状(赤い頬+レース状発疹)があれば、通常は「臨床診断」で十分です。
(しかし、成人では頬に発疹が見られないことも多く、内科クリニックでは見慣れていないため、診断がつかずに「光線過敏」という診断とされることもあるようです。)
多くは、発疹が目立つだけの軽微な感染症ですが、妊婦さんや重い貧血(球状赤血球症、溶血性貧血、サラセミアなど)があるお子さんの場合は、合併症を避けるために血液検査を行うことがあります。
注意が必要なケース
- 妊婦さんが感染した場合
妊娠中(特に初期~中期)に初感染すると、胎児に重い影響(胎児水腫や流産など)を及ぼす可能性があります。
→ 妊娠中の方がりんご病にかかったお子さんと接触した場合は、念のためかかっている産科にご相談ください。 - 貧血持ちの子ども・疾患を持つ方
既に貧血があるお子さんや、血液疾患を抱えている場合は、健康障害(重度の貧血など)を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
治療と家庭でできるケア
- 基本的に対症療法:発熱・頭痛に対して解熱鎮痛剤や、かゆみがある場合は抗ヒスタミン薬などで対処します。
- 学校・保育園について:発疹期でも感染力がほぼないため、通常通り通っていただいて大丈夫です。
予防のポイント
- りんご病には特効薬やワクチンはありません。
- 一般的な対策として「手洗い・うがい」「マスクでの飛沫予防」を励行することが有効です。
保護者の皆さまへメッセージ
- **「発疹が出たら登校できるの?」**という疑問をよく伺いますが、大丈夫です。
- 発疹が出る頃には、すでに感染力はほとんどなく、他のお子さんにうつす心配はありません。
- むしろ、保育園・学校に通ってもらって問題ない安心のサインと捉えてください。
- ただし妊婦のご家族がいる場合や、持病のあるお子さんの場合は、事前にご相談いただければ状況に応じた検査や指示が可能です。
まとめ
項目 |
ポイント |
原因 |
ヒトパルボウイルスB19 |
主症状 |
頬の赤み、手足のレース状の発疹、軽いかゆみ・熱 |
感染時期 |
発疹前の風邪症状期に感染しやすい |
登校 |
発疹時は感染力なし、登校OK |
検査 |
通常は不要、但し特定のケースで血液検査を考慮 |
治療 |
対症療法 妊婦・持病のある児は注意 |
ご不安な点や気になることがありましたら、どうぞお気軽にちからいしこどもクリニックまでご相談ください。保護者の皆さまが安心して日々過ごせるよう、しっかりサポートいたします。
2025.6.29
力石浩志