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アデノウイルス感染症

小児のアデノウイルス感染症について

この冬は、コロナ明けで、インフルエンザが猛威を奮っている以外に、

溶連菌、アデノウイルスも、観測史上最大の流行を記録しています。。。

今回はアデノウイルス感染症について解説いたします。

 

・①熱、眼球充血の「プール熱(咽頭結膜熱)」、②熱の出る咽頭炎、③熱なし、眼球充血の「はやり目(伝染性角結膜炎)」、④胃腸炎、などのタイプがある

・治療薬はなく、対症療法(充血がある場合は点眼も)

・感染力は非常に強い タオル個別使用、次亜塩素酸消毒

・登園・登校停止期間が長い(①③は許可書必要)

 

 

アデノウイルス感染症とは

アデノウイルスは、2本鎖のDNAウイルスであり、主に小児期に発症するウイルス感染症です。

感染時にアデノイド(扁桃腺)が腫れることが多いのでこの名がついたと言われています。

アデノウイルスは、50種類以上の異なる型が特定されており、7つのグループ(A-G)に分類されます。

型によって感染性や病原性、症状が異なります。

 

症状

アデノウイルス感染症には、以下の主な症状があります。

①熱が出て目が赤くなる咽頭結膜熱(=プール熱)

②熱が出るが目が赤くならない咽頭炎

③熱はないが目が充血する流行性角結膜炎(=はやり目)

④胃腸炎

(肺炎、出血性膀胱炎などは頻度が低いので割愛します)

 

感染力が強いので迅速検査キットで診断することができる様になっていますが、抗ウイルス薬はなく、

基本的に対症療法(自分の免疫力で回復するのを待つ)になります。

 

①咽頭結膜熱(プール熱)

夏のプールの際、接触やタオルの貸し借りなどで流行したこともあり、「プール熱」とも呼ばれます。

②の咽頭炎・熱に、結膜炎が加わった症状になります。発熱、咳、鼻水などの風邪症状が見られます。

目の充血は、熱に先行することもありますが、多くは2日くらい遅れて出現します。

そのため、病院で診断がつく際には①か②かはっきりしないこともあります。

熱がでて、咽頭検査でアデノウイルスが陽性。その後眼球充血があれば①、なければ②、という評価になります。

潜伏期間は5-7日です。

アデノウイルスの結膜炎は、細菌感染を併発し、角膜を傷つけたりすることがあるので、抗菌薬の点眼を使用することがあります。

また、かゆみも強く、掻いてしまうことで周囲に感染を広げてしまうことがあるので、痒み止めの点眼を併用することもあります。

熱自体は、平均4日程度(2-7日程度)で落ち着くことが多いですが、

眼球充血が治るまでに時間がかかり、下記の「登校・登園許可書」発行までに2週間程度かかることが多いです。

主にA型(アデノウイルス3、7型)がプール熱の原因として知られています。

 

②アデノウイルス咽頭炎

主に高熱、咽頭痛があり、扁桃腫大・白苔や、周囲の流行状況から疑われた場合に検査されます。

咽頭炎のみの場合は、千葉市の基準では必ずしも登校・登園許可書は必要ないですが、

①と③で必要としているので、書いて欲しいという学校・保育園幼稚園も存在します。

熱が下がるまでに眼球充血が出ず、①ではなく②だったと判断できたタイミングで、通われている学校・保育園幼稚園にご確認ください。

A型(1,2,5,6型)によります。

 

③流行性角結膜炎

目の充血、目やにが出るなど、結膜炎症状が現れます。

熱がなく、目の症状のみだと③の診断になります。

手や目の触れ合いを避けることが感染予防に有効です。

潜伏期間は7-14日とされています。こちらも登校・登園許可書が必要です。

D種の8型、19型、37型、53型、54型、56型などが原因になります。

 

④胃腸炎

嘔吐や下痢が主な症状で、熱も出ることが多いです。

解熱剤、吐き気どめなどを使用し、脱水にならない様管理するのが必要です。

A型、C型(31型、40型、41型)が多いです。

 

診断

咽頭ぬぐい液や涙ぬぐい液で、迅速抗原検査(5分程度)が可能です。

 

感染予防

アデノウイルスは接触・飛沫感染でうつります。

感染力は非常に強く、涙や唾液がついた手で机やドアノブを触り、5分後に他の人がそこを触って口や目に触るとうつります。。。

感染予防のためには、以下のポイントが重要です。

 

・手洗いの徹底:こまめな手洗いは感染予防に効果的です。特にトイレ使用後や食事前に手を洗う習慣を身につけましょう。

タオルの個別使用:洗面所のタオル、お風呂上がりのバスタオルなどは共有を避けてください。

・次亜塩素酸の利用:アデノウイルスはアルコールには耐性を示します。

 次亜塩素酸に弱いため、適切な次亜塩素酸を含む消毒薬を使用して消毒することが重要です。

・感染者との接触の制限:感染者との密接な接触を避けるのが効果的です。

 咳エチケット(咳やくしゃみをする際に口や鼻を覆うこと)を実践することで感染拡大を予防できます。

 

胃腸炎の際には、ウイルス自体は便中に長期間にわたって(1ヶ月など)排泄されますが、

便は、触る前後での手洗いを注意すれば、(子どもが意図せず触ってしまう)唾液や涙ほどは伝播力はないと考えます。

 

 

症状の似ている他の病気

 溶連菌感染症、川崎病、EBウイルス感染症は、発熱・眼球充血・扁桃腫大・白苔など、似た様な症状を呈します。

また、高熱、咽頭炎という意味では、インフルエンザやCOVID-19も鑑別になります。

それぞれ、症状経過や迅速抗原キット、血液検査などで確認が可能ですので、ご受診ください。

 

登校・登園許可書について

 各病型のところでも述べましたが、①プール熱、③はやり目では、許可書が必要になります。

症状(熱と眼球充血)が落ち着いてから2日経過したタイミングで記載できます。そのタイミングでご来院ください。

②の咽頭炎については、上記の様に、通われている学校・幼稚園・保育園にご確認ください。

 

 繰り返しになりますが、感染力が強く、家族内感染もよく起こります。

特にプール熱は、非常に残念なというか、やっかいな感染症で、

一人発症すると2週間、1週間のタイムラグで別の兄弟・家族が発症するとさらにその子も2週間、と、

特に共働き家庭にとってはとても大変な感染症です。。。

しかしながら、感染力がある間に登園・登校してしまうと、他のお子さん・ご家庭も同じ状態になってしまいます(おそらくそのような状態でもらってしまったのでしょう)。

特に熱が下がった後は本人は非常に元気なこともあり、お仕事のことなど、気がかりだとは思いますが、

なんとかゆっくりお休みいただければと思います。

(職場への説明に本ページをご使用ください。職場への証明書などが必要な場合は対応いたします)

 

文責:力石浩志

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